zshio3721の日記

日本の動物園について勉強しています。アカデミックな価値は皆無です。

勉強の進捗について

「勉強の進捗について」とのタイトルで約2年ぶりにブログを書き始めましたが、特段の進捗はありません。社会人(会社人)と並行して個人的な勉強をするのが、これほど困難とは。もちろん、自分の怠惰のせいもあるんでしょうが…。

動物や、動物園への興味は衰えていません。むしろ、拡大している気がする。これはやはり、社会に出て視野が広がったことの効能でしょうか、物事は何でも裏表ということですね…。

2年の間に、いくつか新しく動物園を訪れました。天王寺動物園、神戸市王子動物園和歌山県太地町のくじらの博物館、北九州の到津遊園。天王寺にはナイトズーも含めて3回ほど、訪れました。文献は、正直あまり当たっていません。一般書ですら、フランス・ド・ヴァールの「Are We Smart Enough To Know How Smart Animals Are?」(邦題:『動物の賢さが分かるほど人間は賢いのか』)を読みかけている程度。ただし、直近では、佐々木 芽生の「おクジラさま ふたつの正義の物語」、それから動物とは少し離れますが、 ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を熱量を持って読み進めています。

以前と比べて、動物園や展示のテクニカルな話題ではなく、動物そのものについて、基本的な知識を得ようとしているのだと思います。その意味で、小宮輝之の「くらべてわかる哺乳類」などは大変面白かった。なにせ、日本でみられるすべての哺乳類が網羅されていますから。反対に、最近、上野科学博物館で催されていた「大哺乳類展2」は、やや期待外れでした(そもそも、1が開催されていたことを知らなかった…)。展示の仕方を含め、発信されているメッセージがあまり伝わって来ず、ただたくさんの標本に圧倒されるだけで終わってしまいました。

標本で思い出すのは、滋賀県立琵琶湖博物館です。琵琶湖にまつわる生態系をすべて紹介してやろうという熱意が、優れた展示デザインでもってまっすぐに伝わってくる大変面白い博物館でしたが、何よりも、動物標本の製作工程をビデオで伝えているのが強く印象に残ったのです。標本製作は、ある種動物の生死とダイレクトに向き合う営みだと、モグラの皮はぎを見ながら思い知らされました。また、標本製作業界という大変ニッチな世界があるということそのものも、考えてみれば当然ながら大変新鮮でした。

 

動物園に立ち返ると、この2年間で最も大きなニュースは、千葉市動物公園が園長を民間公募し始めたことではないでしょうか(日本政府によるIWC脱退も、色々な意味で大きなニュースですが、政治的な思惑も絡んで、自分にはうまくコメントできません)。もともと、レッサーパンダ風太で有名になるくらいですから、マーケティング人材には事欠かないのではと思っていたほか、園長はこのブログでも過去に触れた石田おさむ(漢字表記は他ソースをご確認ください)氏ですし、動物や動物園文化への理解が日本で最も進んでいる動物園だと思っていましたが、リスタート宣言も含めて、色々とうまく回っていないのでしょうか。

園長交代について、邪推をめぐらせることは可能ですが、最も好ましいシナリオは、マーケティングやコスト、企画調整など、経営に係る判断を新しい園長に任せ、動物園としてのフィロソフィーを石田氏ないしは他の幹部が磨きこむ、といったあたりでしょうか。単純に、商業的意識を高める(いわゆる、「民間の風を吹き込む」というような、その場しのぎの意識改革)ために新園長を民間公募したのでなければ良いなと思いますが、募集要項だけを読むとそんな気がしないでもない…。すなわち、「集客力の向上」「おもてなし」といったワードが散見されるばかりで、動物園が社会に対してどんなメッセージを発信していくのか、動物を飼育展示することに対してどんなスタンスを取っていくのかといった経営の根幹についての言及がありません。

さらに、報道を確認すると、応募者の大半が動物園園長・水族館館長経験者で、残りは宿泊業・旅行業関係者、かつ、ほとんどが50代以上の男性。結局、内輪で人間が回っただけでは?と突っ込みを入れたくなるほか、既存の企業経営の枠組みを動物園に当て込むだけで、特段新たなイデオロギーを持った動物園など生まれなさそうな匂いがしていますが、これは傍目八目というものでしょうか。

www.nikkei.com

(ちなみに、現時点で千葉市HPでの募集要項はすでに削除されています。)

 

話は全く変わって、最近は日本の経済・産業にマクロな視点から広く携わっていることもあって、これまでとは違う視点から動物に興味が出ています。その内容については、後日追記をします。