zshio3721の日記

日本の動物園について勉強しています。アカデミックな価値は皆無です。

井の頭文化園に行ってきました

 

読んで字の如くです。

 
これで、東京ズーネット系列の動物園はすべて行ったことになります。都内近郊に暮らすようになって何年か経ちますが、やっとかという感じですね。ただし動物園としては都内だけでもまだまだ行けていないところが多いですから(あとは羽村・江戸川・足立・大島あたり?)、何事も精進というかなんというか。楽しくやってるだけなんですけど。
 
さて井の頭文化園は、多摩や上野とことなりこじんまりとした昔ながらの動物園という印象を受けました。施設自体はそれぞれ古いのも新しいのもまちまちなのですが、全体としてなんとなく年季の入った印象の動物園でした。まず当たり前のように遊園地が併設されており、それにくわえて文化園の名が示す通り園内に彫刻などが設置されていましたので、動物園を中心とした複合的な娯楽施設感があり、お客さんのほとんどが家族連れでした。
 
展示自体はおそらく近年改良がされています。ケージによる展示がほとんどでしたが、ケージ内外の植栽が統一されるなどの手法が取り入れられ、ケージによる閉塞感を和らげるのに一役買っています。また猿山も、単なるコンクリートの山ではなく猿たちの遊びや動きが引き出されるよう丸太などが工夫して設置されており、長崎九十九島動植物園のツキノワグマ展示が悲しい対比として頭をよぎりました。
やはり猿が丸太から丸太に飛び移る瞬間などは周りの子供たちも集中して見つめており、興奮した様子で口々に「飛んだ!」と叫んでおりました。このような瞬間にはやはり大人も子供も関係なく目を奪われるようで、お母さん方も興味深そうに眺めておられました。
 
全然関係ないですけど、日本最高齢のアジアゾウのはな子はやはり人気ですね。ゾウだから人気なのか、はな子だから人気なのかははかりかねるところですが、たくさんの人だかりがゾウ舎の前にできていました。
 
それから井の頭は何といってもリス園ではないでしょうか。円状の大きなケージの中に観客が入ってゆくことができ、すぐそばをリスが駆け抜けるという体験ができます。このような体験型の展示はどのようにとらえたらよいでしょう。たしかに、走り回るリスは想像よりも速く力強く、そのような意味でランドスケープ型の展示が意図するところの「自然への畏敬の念」のようなものは養われるかもしれません。しかしやはりガラス張り展示と同様、いちどその展示手法に慣れ切ってしまえばそのような感覚がいつまで続くかわかりません。時間がたてばリスに慣れ、リスに対し攻撃的・威圧的な行動を見せる観客が表れてもおかしくはないでしょう。このような意味で、このリス園のような展示が観客に植え付ける印象が必ずしも動物園にとって都合の良いもの(自然保護、環境保全といったイメージ)とは限りません。
 
やや結論を急いだ感は否めませんが、結局これからの動物園は、人と動物のかかわりについて真摯に考えてゆくしかないのではないのでしょうか。安直で紋切り型の「自然保護・種の保全」といった上から目線をやめて、われわれはどう動物とかかわってきたか、われわれはいつ人間になったか、どこで動物と決別したのか、その結果何が起きたかを考えてゆく必要があるように思われます。またこのような考えは日本の公設動物園こそ率先して持ってゆくべきだと思います。以上のような考えにいたった経緯についてはまた次回以降。